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病院経営・財務Q&A「第7次医療法改正の影響」

Q:「第7次医療法改正」は、病院経営に甚大な影響を与えると聞いています。事務長がかなり深刻に受け止めているのですが、病院経営層にとって特に重要なポイントを教えてください。


A:第7次医療法改正が平成27年9月に国会で可決成立し、9月28日に公布されました。今回の改正では下記の2つの大きな柱が制定されました。

(1)地域医療連携推進法人制度の創設 (2)医療法人制度の見直し

施行日は(1)は平成29年4月2日、(2)の大部分は平成28年9月1日。今回は(2)のうち、「経営の透明性とガバナンスの強化」に関する事項について、今回初めて明文化された規定を確認します。

役員が医療法人と委任関係にあることを明文化(医療法46の5④)

「医療法人と役員との関係は、委任に関する規定に従う。」と定めされています。この委任に関する規定とは民法に定められていますが、特に重要な内容は役員の善管注意義務です。この善管注意義務とは法律的に明確な範囲が決められているものではなく、ケースバイケースで法の解釈が入る余地が大きい義務であることに注意が必要です。よって結果責任を問われる可能性があることになります。この規定の明文化によって医療法人の役員は今まで以上に法律的な観点から、業務執行の決定やその監督等を遂行する必要があります。

社員総会における役員の説明義務を明文化(医療法46の3の4)

「理事及び監事は、社員総会において、社員からの特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。ただし、当該事項が社員総会の目的である事項に関しないものである場合その他正当な理由がある場合として厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。」と定められています。従来はこの項目は明文化されていませんでしたが、説明義務が無かったということではなく、今回の改正で明確に規定され、説明義務の存在と範囲が明確になったと理解するべきです。

役員の医療法人に対する損害賠償責任を明文化(医療法47)

「社団たる医療法人の理事又は監事は、その任務を怠ったときは、当該医療法人に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定められています。同時に役員に対する損害賠償責任の減免制度も設けられています。社団医療法人の場合は社員全員の同意、財団医療法人の場合は評議員全員の同意があれば免除可能です(医療法47の2①)。また善意でかつ重過失が無い場合は一定の金額を限度として社員総会又は評議員会の決議により免除する事が出来ます。さらに定款もしくは寄付行為の規定の中で、上記の一定金額の免除を理事会の決議によって決める事が出来ます(医療法47の2①)。損害賠償責任の範囲を一定の金額を限度とする契約を役員と医療法人との間で締結する事ができる規定を定款や寄付行為で定めることも出来ます(医療法47の2①)。尚、これらの免除規定は役員が自己のために利益相反取引をした場合には適用されません。

このように、今回の医療法改正では、ガバナンスをどう強化するかが特に今後の法人経営上、大きな影響を与える内容になっています。言い換えればいわゆる私的な経営が出来なくなるということです。このことを、経営のあらゆる局面で意識する必要があるでしょう。

(2017年5月5日 日本経営ウイル税理士法人 病院財務 部長 藤原ますみ)

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本稿は一般的な内容を分かりやすく解説したものです。実際の税務・経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、税理士など専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

  • 事業形態 医療・介護
  • 種別 レポート

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